日本人の主な死亡原因の病気であるガンや脳卒中、心臓病などがうまく克服できると平均寿命で約7年前後延ばすことができるだろうといわれています。それでも、体を構成する細胞は分裂を行って機能の低下したものは新しいものと置き変わっているのです。その分裂回数は遺伝子で決まっていることから、最長寿命は110歳前後が限界とされます。誰でも100歳以上まで長生きできる可能性があるのですが、寿命は心臓の脈打つ回数(心拍数)の生涯の総和で決まっているという話もあります。様々な動物で心拍数の測定と寿命の関係を調べてみると、哺乳類では2億回ぐらいがその数に相当するというのです。ネズミのような小さな動物は脈も早いので寿命が短く、ゾウのように大きな動物は脈が遅く長生きしていたのでした。これをヒトにあてはめてみますと、心拍数毎分70回とすれば54年ということになります。すると、運動やスポーツで心拍数が上がりますが、フィットネスクラブで運動している人は寿命を縮めているのでしょうか。
確かに病気やストレスフルな生活で日常心拍が高まりやすい人は注意が必要です。逆にしっかり運動習慣のある人では、心臓の機能(一回の拍出で送り出す血液量など)が高まって、安静時や睡眠時は一般の人より低く、人生トータルとしての心拍数は少なくなるはずです。昔から「人生50年」という謡がありましたが。戦前の日本や医療の未開発の国々をみるとこの数字は、ある意味で正しいと思います。けれども私たちの生きている現在の日本は「人生80年」なのです。50歳を過ぎたその後の人生は、誰にでも与えられているわけではありません。逆に、どんなに節制してもいずれ誰にも平等に寿命はやってきます。健康長寿への準備は今のうちから始まっているのです。